【宅建士】
法令上の制限の概要②


皆さんこんにちは。講師の山口です。
今回は、国土利用計画法(国土法)、農地法、宅地造成等規制法(宅造法)、土地区画整理法を見ていきます。これらは1問ずつ出題されます。特に、国土法と農地法は、出題範囲が狭く、過去問の繰り返しですので、ぜひ2問得点するつもりで学習してください。

1.国土利用計画法(国土法)
国土法の目的は、土地の「買い占め」のような大規模な土地取引による不都合の防止を図ることにあります。すなわち、①土地の有効利用の確保、②地価の抑制という2つの目的があります。
規制手段としては、①事後届出制、②事前届出制、③許可制があります。現在、事前届出制のうち監視区域の指定は、空港建設予定により地価上昇のおそれのある小笠原村の都市計画区域(父島・母島の本島)のみです。さらに、許可制、および事前届出制のうち注視区域の指定は、一度も使われたことがありません。そのため、試験では、①事後届出制を中心に出題されています。
(1)事後届出制における届出対象面積
届出の対象となる土地取引については、その面積と都市計画法で学習した区域とを照らし合わせて覚えましょう。①市街化区域においては2,000㎡以上、②市街化調整区域・非線引都市計画区域においては5,000㎡以上、③準都市計画区域・都市計画区域外においては10,000㎡以上です。「以上」はちょうどの数字を含みます。また、届出対象面積にあたる取引であっても、届出が不要となる例外もあります。
(2)事後届出制の手続の流れ
①権利取得者(届出対象面積にあたる土地の買主)は、契約締結日から2週間以内に、知事に届出を行います。②届出を受けた知事は、「土地の利用目的」のみを審査します。目的のうち「地価」については審査項目に含まれません。そして、③知事は、必要があれば、利用目的について変更の勧告ができます。なお、勧告に従うか否かは任意ですので、強制はされませんが、従わなかった事実を公表される可能性があります。コロナによる緊急事態宣言発令中に、営業した店舗について公表されたのと同じですね。

2.農地法
農地法の目的は、耕作者の地位の安定を図るとともに、食糧の安定供給の確保を図ることにあります。すなわち、国の食糧政策に関連した規制です。具体的には、①農地(植物性の食糧の生産地)に関する規律、②採草放牧地(動物性の食糧の生産地)に関する規律がされています。
まずは、農地に関する3条・4条・5条の許可について正確に理解し、それから、それぞれの許可権者、例外的に許可不要となる場合を覚えましょう。農地について、使い方は変わらないが「使う人」が変わる場合(権利移動)は3条の許可、使う人は変わらないが「使い方」が変わる場合(転用)には4条の許可、「使う人も使い方も」変わる場合(転用目的権利移動)には5条の許可が必要となります。

3.宅地造成等規制法(宅造法)
宅造法の目的は、がけ崩れ・土砂流出など、宅地造成に伴う災害の防止を図ることにあります。すなわち,一定規模の「がけ」を生じる工事を規制しています。宅造法は、①宅地造成工事規制区域、②造成宅地防災区域と指定された区域に適用されます。
その上で、許可の対象となる造成行為の目的や規模を覚えましょう。具体的な数字と数字の後の言葉(高さ2mを「超える」など)まで正確に覚えることがポイントです。この「超える」はちょうどの数字を含みません。
さらに、許可制だけでなく届出制もありますので注意しましょう。

4.土地区画整理法
土地区画整理法の目的は、碁盤の目のように市街地の整備を図ることにあります。具体的には、土地区画整理事業(市街地開発事業)をスムーズに進めるための仕組みを定めています。まずは、土地区画整理事業の手続の流れを把握しましょう。その上で、手続のどの段階の問題なのかを意識しながら学習するとよいでしょう。そして、出題がパターン化している①仮換地・②換地処分については、過去問を通じて確実に得点できるようにしましょう。

【ある講義後のやりとり】

受講生Fさん 「法令上の制限は科目が多いので、知識がバラバラになって混乱します。」

私(山口) 「各法令は、内容だけでなく手続も定めていますので、手続の各段階ごとに何をするか理解するとよいでしょう。また、①土地を購入する段階では国土法や農地法、②土地を造成する段階では都市計画法(開発許可)や宅造法・土地区画整理法、③建物を建築する段階では建築基準法というように、大きな目線で見ることも大切です。」


※知識を正確に覚えることは当然ですが、覚えるだけでは忘れますし、ミスを誘う問題に引っかかってしまいます。法令上の制限に限らず、復習の際には、各項目の機能や役割といった全体的な位置づけも意識してみてください。