【宅建士】
法改正の要点


今年度の改正点の主なものについて、各科目ごとに確認していきましょう。

1.民法等
すでに掲載した事項もありますので、重要な改正のあった項目を指摘するにとどめます。錯誤、無権代理人の責任、消滅時効(時効期間・完成猶予・更新)、債務不履行、法定利率、解除、連帯債務、危険負担、契約不適合責任、配偶者の居住権の保護、遺留分侵害額請求など。

2.宅建業法

(1)宅建業の免許基準と宅建士の登録基準の改正
免許基準と登録基準においては、成年被後見人や被保佐人を一律に欠格者とすることをやめ、心身の故障により宅地建物取引業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの(精神の機能の障害により宅地建物取引業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者)に該当するかを個別審査することになりました。この個別審査は、申請前3か月以内に発行された医師の診断書(具体的な判断能力等がその根拠とともに記載されたもの)によることとされています。

(2)宅建士の死亡等の届出の改正
「心身の故障により宅建士の事務を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの」を登録欠格者としましたので、保護者がいないケースも考えられます。そこで、届出義務者については、成年後見人や保佐人に限定せず、本人や同居の親族も加えました。

(3)制限行為能力を理由とする取消しの制限の新設
成年被後見人等であっても、宅建業の免許を受けて宅建業者となり、宅建業の業務に関して法律行為を行う可能性があります。そこで、宅地建物取引業者(個人に限り、未成年者を除く)が宅地建物取引業の業務に関し行った行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができないことになりました。

3.建築基準法

(1)延焼のおそれのある部分
延焼のおそれのある部分は、隣地境界線、道路中心線又は同一敷地内の2以上の建築物(延べ面積の合計が500㎡以内の建築物は、一の建築物とみなされる)相互の外壁間の中心線(①は隣地境界線等)から、1階にあっては3m以下、2階以上にあっては5m以下の距離にある建築物の部分を指しますが、次の①又は②のいずれかに該当する部分は除外されます。
①防火上有効な公園、広場、川その他の空地又は水面、耐火構造の壁その他これらに類するものに面する部分
②建築物の外壁面と隣地境界線等との角度に応じて、当該建築物の周囲において発生する通常の火災時における火熱により燃焼するおそれのないものとして国土交通大臣が定める部分

(2)建築確認を必要とする特殊建築物の規模
空き家が増加傾向にある中で、住宅をそれ以外の用途に変更して活用することが求められています。そこで、用途変更に伴って建築確認が必要となる規模は、用途に供する部分の床面積の合計が「200㎡超」のものになりました。

(3)防火壁・防火床
延べ面積が1,000㎡超の建築物は、防火壁だけではなく、防火床においても、有効に区画できるよう見直しがされ、かつ、各区画の床面積の合計をそれぞれ1,000㎡以内としなければならないのものとされました。

(4)長屋・共同住宅の各戸の界壁
長屋又は共同住宅の各戸の界壁について、①天井の構造が界壁と同等の遮音性能を有するものとした場合、さらに、②自動スプリンクラー設備等の設置及び天井を強化天井とした場合には、小屋裏又は天井裏に達しなくてもよいことになりました。

(5)建蔽率の緩和
防火地域内にある耐火建築物だけでなく、①「防火地域内(建蔽率の上限値が10分の8の地域を除く)にある耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物(耐火建築物等)」、②「準防火地域内にある耐火建築物等・準耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物(準耐火建築物等)」についても、都市計画で定められた建蔽率の上限値に10分の1を加えた数値を建蔽率の上限値とする扱いとなりました。

(6)防火地域・準防火地域における建築物の規制
防火地域又は準防火地域内にある建築物は、①その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸等の一定の防火設備を設け、かつ、②壁・柱・床等の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するために必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別、並びに建築物の規模に応じて一定の技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとした場合には、耐火建築物等とする必要はないとされました。