【宅建士】
12月本試験に向けて


引き続き、山口です。10月本試験は民法の改正点を問う問題が14問中8問出題されました(問2~問7・問9・問14)。12月本試験でも改正点が多く出題されることが予想されます。そこで、10月本試験で出題されておらず、8月のブログ「民法改正点6項目」で取り上げなかった6項目について確認していきましょう。

1.無権代理人の責任
無権代理人に代理権がないことについて善意かつ無過失である相手方は、無権代理人に対し、契約の履行、または、履行に代わる損害賠償責任を追及できます。ただし、相手方に過失があったとしても、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていた(悪意)の場合には、責任追及が認められます。
なお、無権代理人が制限行為能力者である場合には、制限行為能力者保護の観点から、責任追及できません。

2.消滅時効
(1)損害賠償請求権の消滅時効
人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効については、債務不履行による場合も不法行為による場合も、短期・長期の時効期間を一致させています。

損害の種類 債務不履行 不法行為
物損等 債権者が権利行使
できることを
知った時から
債権者が権利行使
できる時から
加害者・損害を
知った時から
不法行為時から
5年 10年 3年 20年
生命・身体侵害 20年 5年


(2)時効の完成猶予および更新
具体的な事実について、完成猶予事由なのか更新事由なのかを正確にあてはめられるようにしましょう。

種類 完成猶予 更新
猶予・更新型 裁判上の請求等 手続終了までの間(手続中)
手続終了時から6カ月間
権利確定時(確定判決等)
強制執行等 手続終了時
猶予型 仮差押え・仮処分
催告 催告から6カ月間
更新型 権利の承認 承認の時


3.保証人に対する情報提供義務
(1)「事業債務」に係る保証契約「締結時」の情報の提供義務
主たる債務者は、事業のために負担する債務を主たる債務とする保証・主たる債務の範囲に事業のために負担する債務が含まれる根保証の委託をするときは、委託を受ける者(保証人になろうとする者)に対し、財産・収支の状況等の情報を提供しなければなりません。
(2)主たる債務の履行状況に関する情報の提供義務
保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の不履行・残債務など一定の情報を提供しなければなりません。
(3)主債務者が期限の利益を喪失した場合における情報の提供義務
主たる債務者が期限の利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、期限の利益の喪失を知った時から2カ月以内に、その旨を通知しなければなりません。
この通知をしなかった場合、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時点から通知を現にするまでの間に生じた遅延損害金の履行を請求することができなくなります。

4.配偶者の居住権の保護
現実の遺産分割は、各相続人の法定相続分に従って具体的相続分を確定するため、被相続人の配偶者が居住している建物を売却したり、建物の所有権をその建物に居住している被相続人の配偶者以外の相続人に取得させることがあります。
そうすると、被相続人の配偶者は、以前より居住している建物に居住できなくなるおそれがあることから、①遺産分割、または、②遺贈(被相続人の遺言)を原因として、存続期間を終身とする「配偶者居住権」を認めることとしました。そして、建物の所有者は、配偶者居住権を登記する義務を負います。
一方、この配偶者居住権が得られなかった場合には、「配偶者短期居住権」により、一時的に被相続人の配偶者の居住権を保護しています。配偶者は、「遺産分割により居住建物の帰属が確定した日」または「相続開始の時から6ヵ月を経過する日」のいずれか遅い日まで、居住建物を使用できます。

5.遺産分割前における預貯金債権の行使
各共同相続人は、遺産に属する「預貯金債権の3分の1」に自己の相続分を乗じた額について、単独でその権利を行使する(被相続人の銀行口座から出金する)ことができます。

6.遺留分侵害額請求
「全財産を譲る」など各相続人の遺留分を超える遺贈も有効に成立しますが、遺留分に足りない部分を受贈者から取り戻すことができます。すなわち、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができます。
また、遺留分侵害額請求権は、遺留分権利者が、減殺すべき贈与・遺贈があったことを知った時から1年、または、相続開始の時から10年が経過すると消滅します。