【宅建士】
都市計画法に関する判例①


みなさんこんにちは。山口です。

4月になり春の暖かさが感じられる季節となりました。
やわらかな春の日差しにエネルギーをもらいながら散歩すると、勉強の効率もアップすることでしょう。今回のブログも、皆さんの勉強にかかわりのある、都市計画法の判例についてご紹介していきたいと思います。
先ほど、散歩の話をしましたが、散歩と言えば公園が思い浮かびますね。
今回ご紹介する判例の舞台である「林試の森」も、東西700m、南北250m、周囲2.3km、面積12haの都立公園です。品川区小山台と目黒区下目黒にまたがるのでかなり広いです。
外国樹種の養成のため、明治33年に農商務省林野整理局の施設「目黒試験苗圃」として開設、のちに林野庁の「林業試験場」として使用されました。その林業試験場は、昭和53年に「独立行政法人森林総合研究所」として筑波研究学園都市に移転しました。跡地は公園として整備され、「林試の森」の愛称で、平成元年から一般に開放されるようになっています。この林試の森公園において、ある事件が起こりました。

1.事案
東京都は、都市計画法所定の都市施設である目黒公園(林試の森公園)の南門と、区道との接続部分を整備する目的で、東京都市計画公園事業の認可を建設大臣(当時)に申請したところ、これが認可され、平成8年12月2日付けで告示されました。
計画においては、周辺の個人所有の土地を公園の一部とし、南門と区道との接続部分として利用することとしています。ところが、個人所有の土地の西側に隣接して、国家公務員宿舎(小山台住宅)が建っている公有地がありました。
そこで、周辺住民は、個人所有の土地を事業地に加えなくても、隣接する国家公務員宿舎の公有地を利用すれば足りることを理由に、公園事業の認可は違法であるとして、その取消しを求めました。

2.最高裁の判断
東京地裁は住民の主張を認めましたが、東京高裁は建設大臣のした判断には合理性があるとして住民の敗訴としました。しかし、最高裁判所は、東京高裁よりも、行政側の判断に厳しい姿勢で臨みました(平成18年9月4日判決)。
最高裁は、そもそも、都市施設は、その性質上、土地利用、交通等の現状及び将来の見通しを勘案して、適切な規模で必要な位置に配置することにより、円滑な都市活動を確保し、良好な都市環境を保持するように定めなければならないから、都市施設の区域は、当該都市施設が適切な規模で必要な位置に配置されたものとなるような合理性をもって定められるべきとしました。
また、民有地に代えて公有地を利用することができるときには、そのことも合理性を判断する一つの考慮要素となり得るとしています。
そして、建設大臣が、林業試験場の跡地にできる公園に関する都市計画を決定する際に、林業試験場には貴重な樹木が多いという事実のみから、民有地を公園の区域と定めたことについて合理性に欠けると判断しました。
すなわち、①南門の位置を変更して、民有地ではなく公有地を公園の用地として利用することにより、林業試験場の樹木に悪影響が生ずるか、②樹木に悪影響が生ずるとしても、樹木の植え替えなどによって悪影響を回避するのは困難であるかなど、具体的な事実を確定する必要があるとしました。
したがって、南門の位置を変更することにより林業試験場の樹木に悪影響が生ずるか等につき十分に審理をしなかった東京高裁の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとして、樹木に悪影響が生ずるか等について更に審理を尽くさせるため、東京高裁に差し戻すよう命じました。

3.ポイント
最高裁は、都市施設の事業地について、民有地と公有地の双方が利用できる場合に民有地を選択するときには、その合理性を慎重に判断すべきことを示しています。
ただ、東京高裁での差戻審において、住民側は訴訟を続ける意味がなくなったとして訴えを取り下げています。東京都が、民有地の収用を中止し、国家公務員宿舎の建っている公有地を払い下げるよう国に求めるという方針転換をしたためです。
現在、東京都は、「財務省小山台住宅等跡地利用方針」に基づき、民有地周辺に広がる農林水産省峰友寮・財務省小山台住宅・都営小山台民生住宅の跡地(約3ha)について、林試の森公園の拡張や生活道路の拡幅等などに用い、さらには防災まちづくりの取組みも進めています。

次回も、宅建で毎年出題される分野に関する判例をご紹介します。お楽しみに!