【宅建士】
都市計画法に関する判例②


皆さんこんにちは。山口です。

さて、今回も試験によく出る単元に関する判例についてご紹介していきます。
今回のテーマである「開発許可制度」は都市計画法における重要な分野であり、毎年出題されています。
開発行為として無秩序な造成工事が行われると、周辺の環境に悪影響を及ぼすため、都市計画法は許可制によって乱開発の防止を図っています。
一定の開発行為を行うには開発許可の申請をしなければいけませんが、あらかじめ開発行為に関係がある公共施設管理者と協議をして同意を得る必要があります。そして、開発許可申請書には、同意を得たことを証する書面を添付することになっています。
この公共施設管理者の同意を得ることができなかった場合、開発許可申請者は、開発許可申請書に必要な書面を添付することができず、開発許可申請の要件を満たさないので、開発行為は認められません。さて、同意を拒否された者は、管理者に対して、同意の拒否の取消しを求めることができるのでしょうか。

1.事案
Xは、盛岡市内の市街化調整区域において開発行為をするため、既存の道路や下水道などの管理者である盛岡市長Yに対し、開発行為の同意を求めるとともに、開発行為に伴う工事によって新設される道路や下水道などに関する協議を求めました。ところが、Yは、県の方針や計画に適合しないことを主たる理由として、同意できない旨の回答をしました。そこで、Xは、Yが同意しないことについて取消しを求める訴訟を提起しました。

2.最高裁の判断
最高裁は、以下の理由で、Xの訴えを認めませんでした(平成7年3月23日判決)。
開発許可申請にあたっては公共施設管理者の同意を得なければならず(都市計画法32条)、申請手続においては許可申請書に同意書の添付を要求し(30条2項)、かつ申請された開発行為が基準に適合し、申請手続に違反していない場合には、開発許可をしなければならない(33条1項)と定める諸規定は、事前に開発行為による影響を受ける公共施設の管理者の同意を得ることを開発許可申請の要件とすることによって、開発行為の円滑な施行と公共施設の適正な管理の実現を図ったものと解しています。
そして、この同意が得られなければ、公共施設に影響を与える開発行為を適法に行うことはできないが、これは、都市計画法が要件を満たす場合に限って開発行為を行うことを認めた結果にほかならないとした上で、同意を拒否する行為それ自体は、開発行為を禁止又は制限する効果をもつものとはいえないと述べています。そのため、開発行為を行おうとする者が、同意を得ることができず、開発行為を行うことができなくなったとしても、その権利ないし法的地位が侵害されたものとはいえないとしました。
さらに、都市計画法には同意を拒否する行為に対する不服申立ての規定がないことも指摘しています。したがって、同意の拒否の取消しを求める訴訟を提起することはできないと結論づけました。

3.ポイント
最高裁は、都市計画法の文言や仕組みに着目して判断しました。悪く言えば、裁判で救済できないのは「都市計画法のせい」としているかのように映ります。
もっとも、公共施設に影響を与えるような開発行為は公共施設の適正な管理との調整を図る必要があることからしますと、国民が当然に開発する権利や開発許可申請権を有しているとは言い切れません。そのため、公共施設管理者の同意に事前調整という機能を持たせ、同意を得た場合に限り開発許可を申請する権利を付与したものと捉えて、同意を拒否する行為それ自体は開発行為を禁止又は制限する効果を持つものではないとしています。すなわち、管理者の同意は、法制度上、「開発許可要件」としての同意と位置づけられるのではなく、「開発許可申請要件」としての同意と位置づけています。
また、都市計画法上の不服申立ては、許可権者である都道府県知事等の行為を対象としており、管理者の不同意の違法性を判断する仕組みにはなっていないことも根拠としています。
そうしますと、不同意の場合には、同意書を添付せずに開発許可申請を強行し、知事等から不許可処分を受けた上で、不許可処分の取消しを求める訴訟を提起して、そのなかで不同意の違法性を主張することも考えられます。しかし、これには多くの見解があり、判例もありません。現状においては、不本意な点があるかもしれませんが、事後的に争うよりも、協議を尽くして同意を得るしかなさそうです。