【通関士】
スエズ運河で船が座礁し
通行不能になった件



こんにちは!TAC通関士講座講師の星野敦です。

3月23日、エジプトのスエズ運河でコンテナ船が座礁し、
運河をふさいでしまう事故が起き、
他の船舶が通行出来なくなってしまいました。
一時期、400隻近くの船が足止めをくらってしまう状況に。

スエズ運河はヨーロッパとアジアを結ぶ貿易の要衝です。
日本・欧州間を船で運送する場合、ここが通行不能になれば、
アフリカ大陸南端の喜望峰を迂回しなければならず、
航海日数が10日近く余計にかかってしまうんだそうです。
それでも、スエズ運河の通行がいつ再開するか不明だったので、
見切りをつけて喜望峰に向かう船もありました。

結局、3月29日に、座礁した船は元に戻り、運河の通行は再開されました。

ところで、スエズ運河の通航料は1回3,000万~5,000万円かかるそうです。
「高いなー!」と思ってしまいますが、
喜望峰を迂回して10日余計にかかるルートをとった場合、
コンテナ船は1日あたり人件費や燃料等のコストの合計が約1,000万円かかるらしく、
そうすると1,000万円×10日=1億円
かかってしまうので、それなら5,000万円払ったほうがよい、とのことです。

さて、通関士試験の試験範囲で、「災害等運賃特例」という制度があります。
これは、たとえば天災、戦争ストライキ等、
輸出入者の責任ではない理由で
当初の運送方法、運送経路で運送できなかったとしても、
当初の運賃で輸入申告できる、という制度です。

私はいつも講義でこの範囲の説明をする際、
スエズ運河が災害で通行できなくなって喜望峰を迂回する事例を話すのですが、
まさか実際に起きるとは思いませんでした。

原則、運賃は実際にかかった分を輸入申告します。
しかし、輸入者からすれば自分の責任ではない理由で船が遠回りし、
そのせいで余計に運賃がかかってしまい、さらに余計にかかった運賃を
加えて輸入申告することになると、課税価格が高くなってしまい、
当然関税も高くなってしまいます。
それではかわいそうですよね。

そこで、災害等運賃特例という制度があるのです。
今回の事件で、スエズ運河が通行できずに喜望峰を迂回しても、
当初の予定であるスエズ運河を通った運賃で
申告できれば課税価格は高くならず、関税額も増えずにすみますね。

ちなみに、座礁した船の所有者は日本の会社。
エジプト側から損害賠償請求をされそうですが、
こういうときのために高額の保険に加入しており、
今回は保険金で対応できそうだということです。