【通関士】
ロシアによるウクライナ侵攻が
貿易に及ぼす影響



こんにちは!TAC通関士講座講師の星野敦です。

2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻。
連日、ウクライナの子供を含む一般市民が被害を受けるニュースが
流され、胸が痛みます。

ロシアによるウクライナ侵攻は貿易に、そして私たちの生活に
どのような影響を与えるのでしょうか。

(1)SWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシアの銀行の排除
SWIFT(国際銀行間通信協会)は、
銀行間の国際貿易代金の決済、送金システムで、
貿易実務系テキストにも、ほんの少しだけ登場します。

ロシアの銀行がこのシステムから締め出され、
貿易決済ができなくなり、ロシアの企業、経済は打撃を受けています。

ただ、ロシアから天然ガスや穀物を輸入している西側諸国も、
それらを輸入できなくなれば、生活にダメージを受けます。

日本だけでなく、欧米諸国もロシアからの輸入をストップしており、
これにより天然ガスの国際価格が上昇し、今後、ガソリン代、電気代、
ガス代等の値上げが見込まれます。

また、小麦の生産高について、ロシアは世界第3位、
ウクライナは世界第7位であり(2019年、外務省HPより)、
ウクライナは侵攻を受けて輸出どころではないですし、
ロシアはSWIFTから締め出されて輸出できないので、
今後、小麦製品の高騰が予想されています。
例えば、パン、麺類、お好み焼き等々・・・

(2)貨物海上保険や貿易保険への影響
貨物海上保険(貨物の物的損害に備えた保険)については、
ウクライナ近辺を通過する貨物は対象外となり、
貿易保険(貿易取引上の損害に備えた保険)については、
日本で取り扱っている株式会社日本貿易保険が
ロシアとベラルーシの格付けを最低ランクに落としたことで、
この両国向けの取引にかける保険料が高くなります。

(3)物流への影響
現在、西側諸国はロシア向け貨物に港湾を使用させず、
ロシア向け航路は停止状態にあります。
日本の船会社もロシア向け貨物の受付を停止しています。

(4)最恵国待遇の取り消し
日本やEU、米国等がロシアに対する最恵国待遇を取り消すことにしました。
最恵国待遇は貿易実務検定テキストにも掲載されていますが、
相手国に対し、他の国に与えている条件より不利にならない条件を与えること。

たとえば、A国からのある製品の関税率を3%とした場合、
他の国からのその製品の関税率も3%にしなければいけません。
みんな平等に扱う、ということですね。

今後、ロシアに対してはこのルールが適用されなくなり、
ロシアからの物品の関税率が上がります。
具体的には協定税率という安い税率は使えなくなり、
基本税率と暫定税率のいずれか(暫定税率が設定されている品目は
暫定税率)になるようです。
ただ、日本の場合はそれほど大幅に税率が上がるわけではなさそうですが。

(5)ロシア向け貨物が外為法の輸出承認必要に
ロシア、ベラルーシ等への輸出の一部(奢侈品、たとえば酒、たばこ、
宝飾品等)について、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく
経済産業大臣の輸出承認が必要になりました。
実際には、一部の例外を除き、原則、輸出は承認されないとのことです。

このように、貿易や、私たちの生活に影響が出ています。
ウクライナの人たちのために、一日も早く戦争が終結することを願います。