知っ得!身近な法律Q&A

憲法の仕組み(基本原理)を
おしえてください。(前編)

行政書士編①

Q.問題

たくろーくん
「このところ、テレビや新聞などを見ていると、「選挙の一票の格差」「個別的自衛権・集団的自衛権」「特定秘密保護法」なんて言葉をよく聞くよね。「憲法改正」が話題になることもあるし。そもそも憲法ってなんなんだろう。どういう役目があるのかなぁ。」

ゆきちゃん
「憲法って、小学校でちょっとだけ勉強してるよ。憲法の3本柱ってあったよね。え~っと。「基本的人権の尊重」と「国民主権」と「平和主義」。辛うじて覚えてたっ。でも、暗記しただけだから、意味を説明しろって言われるとこまっちゃうわ。」

たくろーくん
「じゃあ。いい機会だから、憲法って何か、聞いてみよう。」

ゆきちゃん
「いいね! 憲法のしくみ。知りたいな。」

いま話題の憲法。そのしくみ(憲法の基本原理)をおしえてください。

今回の回答者

小池 昌三(こいけ しょうぞう)

TAC行政書士講座専任講師。法務博士であり、また行政書士、宅地建物取引主任者(現在は宅地建物取引士)、貸金業務取扱主任者、ビジネス実務法務検定1級に合格。
現在は新宿校と八重洲校で講義を担当。初学者から受験経験者の方まで、幅広い知識を元に、受講生の合格まで導いている。

A.回答

たしかに、最近、「憲法」という言葉をきく機会が多くなってきたね。
たくろーくんが、いくつか例を挙げているけど、たくろーくん、よくニュースや新聞を見てるね。そして、憲法って何だろう。という疑問も、いい疑問だよ。
そもそも、憲法のしくみって、どのようなものなのかを見ていこう。「憲法の問題」を考えるときには、大切な視点だから、たくろーくんも、ゆきちゃんもよく聞いておいてね。

憲法が支えているもの。

最初に、ゆきちゃんが言ってた、「基本的人権の尊重」「国民主権」「平和主義」。これが、憲法の3本柱になるわけだけど、この3本柱で支えているものは何だろう。「国vs.国民」の関係を図式化してみようか。2つのパターンを見てね。

一般的に、国と国民の関係を図式化するとき、国を上に、国民を下に書くことが多いよね。国は大きいけれど、私たち国民一人一人は小さいから、国家の下に国民が従っているイメージがあるのかな。

でも、憲法の仕組みは、それとはまったく逆なんだ。
イメージとしてはこうなるかな。

私たちが、社会の中で幸せに安心して生活できるように、その土台となって、私たちを支えてくれるのが国ということ。

しかし、大きな権力を持つ国家は、概して暴走して、国家の都合で、私たちの個々の自由や権利を奪おうとすることがあるんだ。でも、国家はそもそも、私たちの幸せを実現するために存在しているはずだよね。国家の都合で私たちの自由や権利を奪うことは、国家の存在意義を反故にするものだから、それは許されない。
権力が暴走しないよう、権力に対する重石となる仕組み。それが憲法。この図式が、憲法を理解する第一歩。しっかり頭に入れておこう。

憲法は国民の国に対する命令書。法律とは異なる。

厳密にいうと、憲法は法律ではないんだ。法律とは、国会で作られる国民に向けてのルールブック。でも、憲法は、国民が国に向けて作ったものなんだ。また、法律を制定・改廃する場合、国会のみでできるけど、憲法を改正する場合には、必ず私たちの国民投票が求められるんだ。その点でも、法律と憲法は大きく異なるよ。
また、憲法は、国の法体系の最上位に位置づけられる最高法規。憲法に反するような法律や命令は無効になるよ。このように、国民の作った憲法は、国家権力が従わなければならないルールブックとしての役目を担ってるんだ。
私たちが従うべきルールが法律だとしたら、国家が従わなければならないルールが憲法。つまり憲法は、「国民から国に対する命令書」という性質を持ってる。

次に憲法が支えているものはなにか見てみよう。 

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