知っ得!身近な法律Q&A

憲法の仕組み(基本原理)を
おしえてください。(後編)

行政書士編①

憲法が支えているもの。

私たちがこの社会で幸せになったり、自由に生きていくことは、私たちが持つ自由が守られなければ実現できないよね。そこで憲法は、具体的に私たちにどのような自由や権利があるのかを明らかにしているよ。思想良心の自由:信教の自由:表現の自由:職業選択の自由:学問の自由:財産権などだね。これらの自由が守られることで、私たちの幸せが確保される。これが憲法の3本柱の一つ「基本的人権の尊重」だね。

しかし、憲法は紙切れ(文書)だから、時の権力者が「そんなの守らない!」といい始めたら、それを実際に抑えることができなくなってしまう。そこで、憲法は、権力が暴走できないような国家システムについても定めているんだ。その国家システムが、権力を三つに割るという三権分立。権力を割って、それぞれの権力がそれぞれ暴走していないかを監視させるんだ。権力が一点に集中して暴走してしまうことを防ぐんだね。そして、国家システムを考えるときに欠かせないのが、「私たちのことは私たち自身で決める。」という考え方だよ。これが憲法の3本柱の一つ「国民主権」だね。

国家権力が守らなければならない「基本的人権の尊重」と、国家が暴走しないための国家システム「三権分立」。この二つが、私たちの幸せにとって欠かすことのできないものであるという考え方を立憲主義というんだ。この立憲主義の考え方を取り込んだ憲法を、立憲主義憲法と呼ぶ。このもとで国家が運営されることで、私たちの幸せな生活が実現されることになるんだ。そして、私たちの日本国憲法も、この立憲主義の考え方に基づいて制定されているんだよ。

幸せを実現するための土台となる平和主義。

人権が尊重され、国家が私たち自身の手で運営されるとしても、平和でなければ、すべてが水の泡に帰してしまうよね。そこで、「平和主義」が三本柱の最後の柱として規定されているよ。

憲法尊重擁護義務に国民は入っていない理由。

憲法が、国民の国に対する命令書であることを示す特徴的な条文があるよ。憲法尊重擁護義務について規定した憲法99条を見てみよう。

日本国憲法99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

この条文には、憲法を守らなければならない人が書かれてる。ここに、「国民」が入っていないよね。なぜかっていうと、この憲法は、国民から国に対しての命令書という性質を持っているから。国民が、「憲法を守ってね」という相手は、国民以外の国家権力を行使するこれらの人ということになるんだね。

憲法の関わる問題を見るときの視点で大切なこと。

このように、平和の下、立憲主義に基づいて、国家が私たちを支えてくれることで、私たちは幸せな生活を送ることができるよね。だけど、いったん国家が暴走を始めると、立憲主義が破壊され、私たちの自由や幸せな生活が奪われる可能性が生じてしまう。だから、冒頭で挙げたようなことをはじめとして、なにか国家権力に動きがあるときには、国家権力が私たちの自由・人権を踏みにじっていないか、また、三権分立に反するようなことはしていないか、という視点からチェックすることが大切なんだ。だから、私達は憲法を学ぶ必要があるんだね。

憲法のしくみと、憲法問題を考える重要な視点。お役に立てたかな。

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