知っ得!身近な法律Q&A

子供が相手を殴って怪我をさせたら、
どうなるの?刑事編(後編)

司法試験 /弁護士編⑥

刑法の41条に、「十四歳に満たない者の行為は、罰しない」。こういうふうに書いてありますね。
「罰しない」とありますが、犯罪の成立自体が否定され、そのため処罰もされないということになります。41条と異なり、犯罪は成立するが処罰のみしないということを定めている条文もあるのですが、41条は、14歳未満であるという事実を、犯罪の成立自体を阻却する事由と定めています。
これは犯罪成立阻却事由と呼ばれます。ちなみに、犯罪成立阻却事由には、「違法性阻却事由」というものと「責任阻却事由」というものがあるんですが、41条は、責任阻却事由を定めたものと考えられています。皆さんも、責任能力なんて言葉をどこかで耳にされたことがあると思います。41条の規定する犯罪成立阻却事由は、14歳未満の者には責任能力がなく、この者の刑事責任を問うことはできないとするものですから、責任阻却事由となります。なお、これに対して、違法性阻却事由の代表例は、皆さんご存知の「正当防衛」(36条1項)です。

今回の事例では、問題となりませんが、仮に、子Aが子Bを殴ったのは、実は、子Aが子Bから殴られそうになったからやむを得ず反撃したものだったという事実があれば、子Aの行為が正当防衛として法的構成ができるか、その条文の文言へのあてはめを行うことになります。脱線が長くなってしまいすみません。
今回は、41条ですね。子Aというのは8歳ですから、「十四歳に満たない者」にあてはまりまして、その行為であるBを殴った行為ですね。これは罰しないと、こういうふうになるんです。

つまり、Aの行為に傷害罪は成立しないから刑罰も科されないということになります。ですので、Aの立場からは、めでたしめでたしと、Aのことをご心配だった皆さんとしては、大丈夫でしたね。 安心です、という結論になってくるわけです。
なお、一方で、14歳に満たない者だって犯罪者として刑罰を受けるべきなんじゃないかという考え方もあるとは思います。でも、やっぱりどこかで線を引かないといけないです。

最近の子どもには確かに14歳にもなったら、もう責任を負ってもいいんじゃないかと思える、ある意味でしっかりした子も確かにいるわけですけれども、そこでもやはり「じゃあ、何歳ならいいのか」という話になってくるわけです。
現在では、14歳のところで、線引きがなされているという点を押さえていただければと思います。
あと、似た話として、今回の事例とはちょっと関係ありませんが、未成年者の犯罪行為ということになると、少年法も絡んできます。少年法というのが適用されるのは未成年者です。つまり、犯罪行為の時点で行為者が二十歳未満の者であれば少年法が適用されるということになります。
この場合、原則としては刑事裁判で刑罰が科されるわけではなくて、別に家庭裁判所というところで少年審判という、裁判ほど厳しくはない手続きを経て、例えば少年院に送るとかこういったことになっています。もっとも、こういった法制度についても色々な議論があるところです。今回はとりあえず犯罪になるのかならないのかという点について、検討してみたところであります。
したがいまして、結論としてはこのようになってきます。

今回は、子Aの勝ちということになりました。
民事の方ではAの側が負け、親Aの負けになったんですが、刑事の方では子Aの勝ちということです。無罪になりました。
なお、現実には、子Aに犯罪が成立しないのは明らかですから、検察官は、子Aを起訴することはありません。

このように4Aを使うとあらゆる事件、法的問題が自力でそのプロセスを経て結論まで出すことができる、あるいは、見通しを立てることができるというのをお伝えできればということで、お話してきました。
ぜひ、今後は身の回りの事例や万が一自分が事件に巻き込まれたら、もちろんこの4Aを使って考えていただきたいと思います。
また、例えばテレビのニュースとかあるいはネット上でのニュースを見たとき、法的な事件のニュースを見たときに、4Aを使ったらどういうふうに処理できるのだろうかということを考えていただくと、仮に法的な資格試験の対策とかが必要のない方でも、自分で法律を使って身を守る、あるいは攻めていく、こういう力を付けることができます。ですから、ぜひ、そういったこともやっていただければと思います。

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