知っ得!身近な法律Q&A

誰に損害賠償できるの?(前編)

宅建士編①

Q.問題

AさんがD工務店に頼み、家を建ててもらいました。
その後、Aさんがその家をBさんに貸し、Bさんが今現在その家に住んでいます。

ある日、家の屋根瓦が風で飛んでしまい、通りかかった通行人のCさんの頭に瓦がぶつかったため、Cさんが怪我をしてしまいました。

この場合、Cさんが損害賠償を請求できる相手は一体誰でしょうか?

A-大家さん(家の所有者)? B-賃借人(家の占有者)?
それともD-家を建てた工務店?

今回の回答者

笠松 信之(かさまつのぶゆき)

学生時代より、小学校~高校生への受験指導および資格学校での宅建士受験指導に携わる。様々な年代に対する指導の経験から、自身のモットーである「相手に与える満足感は自分の満足感に繋がる」が、「誰にでもわかりやすい講義」への果てのない努力となり、「熱意あふれる講師」として、受講生から大きな信頼を得ている。

A.回答

近年、高齢者ドライバーによる事故が後を絶ちません。高速道路を逆走して対向車とぶつかったり、アクセルとブレーキを踏み間違えて人の列に突っ込んでしまったり…。
このような不注意により、他人に損害を与えることを民法では「不法行為」といい、被害者は加害者に対して損害賠償(慰謝料)を請求できます。実はこのお話、不動産の資格である宅建士試験でもよく問題になるんです。試験では下図のようなケースで出題されます。

結論からいいますと、怪我をしたCさんはまず家を借りているBさんに損害賠償請求ができ、Bさんが免責される場合は、2次的に家の持ち主である大家のAさんに損害賠償請求ができます。これは不法行為の一種で、工作物責任と呼ばれています。

 

詳しい解説は後編でお話したいと思います。

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